山口県柳井市研究チーム(筆頭著者 古瀬 裕次郎 助教)の論文がExperimental Gerontology誌に採択されました

2014年から、山口県柳井市との共同事業として「ニコニコ健康づくり事業」を展開していました。2015年に測定した柳井市高齢者を対象とした体力測定会において、嗅覚機能検査、認知機能検査および身体機能検査を行いました。本論文は、要支援要介護認定を受けておらず、認知機能に低下がない身体的に自立した元気な柳井市民高齢者を対象に、嗅覚機能の低下が身体機能低下と関連しているかどうか検討しました。

1) 甘い臭い(みかん、練乳など)を同定できなかった場合、身体機能低下と有意に関連しました。
2) 薔薇(バラ)の臭いを同定できなかった場合、メントールの臭いを同定できなかった場合は、それぞれ下肢機能 (バラ: 星形歩行速度; メントール: 5回椅子立ち上がり速度) が低下していました。
3) バラとメントールの臭いをどちらも同定できなかった高齢者は、さらに多くの下肢機能 (Timed Up and Go、5回椅子立ち上がり速度、垂直飛び、星形歩行速度) が低下していました。

 

自立した元気高齢者において、臭い別やクラスターに焦点を当てることで、嗅覚機能低下は身体機能 (特に下肢機能) の低下と関連しました。ぜひ、みなさんも身近な臭いだけでなく、自然の中に足を運び、足腰を動かしながら、多くの臭いに触れて気分転換をしてみてはいかがでしょうか。

 

【 論文 】

著者名 Yujiro Kose, Yoichi Hatamoto, Rie Tomiga-Takae, Yukari Kimuro, Ryo Aoyagi, Hikaru Kawasaki, Takaaki Komiyama, Mamiko Ichikawa, Katsutoyo Fujiyama, Yoshiro Murata, Masahiro Ikenaga and Yasuki Higaki
タイトル Olfaction, ability to identify particular olfactory clusters and odors, and physical performance in community-dwelling older adults: The Yanai Study
雑誌名 Experimental Gerontology(online ahead on print
URL https://doi.org/10.1016/j.exger.2022.111793