「ささえる」活動を通して人間性を磨ける環境
福岡大学スポーツ科学部では、「する」「みる」だけでなく、地域社会や組織と連携し、社会貢献を推進するために様々な「ささえる」活動を展開しています。スポーツの力で楽しく活力ある社会を築き、絆を深めることを目的とし、「福岡大学市民カレッジ」での公開講座をはじめ、JICA海外ボランティア派遣、地域でのスポーツボランティア等の活動を通して、学生が人間性を磨ける環境を用意しています。
ボリビアでのスポーツ指導を通して青少年育成に貢献
JICAボランティア事業
これまでには、学生たちがJICA短期派遣隊員としてボリビアへ向かい、小学校の体育の授業で野球やサッカーを指導したり、青少年の野球やサッカーチームで一緒にゲームを楽しむなどの活動を行っていました。
また施設や用具が整ってないような広場では、かけっこや鬼ごっこなどを通して「運動」することの楽しさも伝えていました。
帰国後は新入生に対して活動内容をプレゼンテーションする機会を設け、海外生活や子どもたちとの触れ合いの様子などを報告しています。
JICA短期派遣隊員の体験をした学生たちは、この経験を活かして、その後の学生生活や就職活動につなげています。
JICAボランティア事業とは
福岡大学と独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)は、2015年8月にJICAボランティア事業を締結し、2017年9月には長期(2年間)のボランティア派遣が可能になりました。
学生たちを長期で派遣できる環境が整ったことで、ボリビアのスポーツ振興と健全な青少年育成に、より貢献できるとともに、学生らが日本社会や世界で活躍できるグローバル人材へ成長していくことが期待されます。
スポーツを通して「誰もが参加できる交流の場」を提供
スポーツイベントボランティア
福岡市では少子高齢化が進む中、子どもが安心して生み育てられる環境づくりに加えて、高齢者が安心して暮らせる環境づくりが進められています。
それに伴い、国際交流の進展や、年齢・能力等に関わらず誰もが生き生きと働くことができ、過ごしやすい環境づくりが求められています。
スポーツイベントボランティアは、学生たちがそれそれのチカラを活かし、スポーツ参与として「する・みる・ささえる」を実践。特に「ささえる」においては、スポーツを通して「誰もが参加できる交流の場」を提供することを目指しています。
またスポーツイベントボランティアを通じて障がい者スポーツに対する関心を高めるとともに、地域と共に障がい者スポーツの支援・普及に取り組んでいます。
スポーツイベントボランティアの活動内容
開催しているスポーツイベント
- ブラインドサッカー
- ソーシャルフットボール
- アンプティーサッカー
- 車椅子バスケットボール
- キッズダンスコンクール
支援内容
- プレーヤーや参加者
- チームの同行サポート
- 会場設置
- 運営補助
- ゲーム審判
- 練習サポート
- 各参加チーム応援隊の結成
子ども向けスポーツ教室や社会人・高齢者向け健康教室
福岡大学市民カレッジ
福岡大学社会連携センターでは、大学の学部教育で得られた成果を教育プログラムとして市民の皆様へ提供し、生涯学習や人生設計に役立てていただくために「福岡大学市民カレッジ」を開講しています。
スポーツ科学部の教員や学生らで担当する公開講座は、スポーツ科学部の本格的な競技施設や設備で専門の学生達が指導にあたっており、地域の子どもたちのスポーツとの出会いの場となっています。 また健康への関心の高まりをうけ、社会人・高齢者の健康教室も開催しています。
主な公開講座
小学生向け講座
- 体操教室
- 陸上教室
- バスケットボール教室
- バレーボール教室
- サッカー教室
社会人・高齢者向け講座
- 女性のための元気体操教室
産学官地域連携「福奏プロジェクト」で健康持続社会を目指す
福岡大学では、出生前から老年期までに遭遇する健康課題を解決し、人々の「福(ハッピー)」を奏で、地域での健康持続社会の実現を目指す「福奏(フクソウ)プロジェクト」を2016年8月から5年間、取り組んできました。スポーツ科学部では「幼少期~青年期」と「中高年期~老年期」の2つを対象とした研究を行いました。
幼少期~青年期向け「福奏プロジェクト」
新体力テストを活用した体育指導の実践
幼少期~青年期を対象とした福奏プロジェクト「幼少期~青年期の学校適応支援・活力ある人間形成の研究チーム」では、福岡市内の小学校と連携し、新体力テストの評価やサッカー、水泳、コーディネーショントレーニングなどの体育指導を行ってきました。
体力テストの結果は、体格のほかに生年月日や出生体重などが影響を及ぼします。これらの要因を考慮した体力テストの評価を行うことで、児童が体育・運動・スポーツ活動へ前向きな姿勢で取り組める環境づくりを目指してきました。
また評価から見えてきた児童の課題を克服できるよう、福岡大学スポーツ科学部や運動部の学生が主体となって児童への体育指導を行いました。この取り組みは、児童の成長のみならず、指導する学生にとっても貴重な体験学習の場となっており、責任感の芽生えや、教員志望へ繋がる等の効果も表れています。
中高年期~老年期向け「福奏プロジェクト」
スロージョギング®を核に健康プログラムを開発
中高年期~老年期を対象とした福奏プロジェクト「中高年期~老年期の社会活動支援・活力ある高齢者の研究チーム」では、スロージョギング®を普及推進するための取り組みとして、これまでの知見を応用した短期合宿形式(2泊3日~)の健康プログラム「ヘルスツーリズム」を行いました。
従来の教室で定期的に開催される健康プログラムとは特徴の異なるアプローチ方法です。
福岡大学スポーツ科学部では、健康づくりのための運動として、笑顔が保てる上限の軽運動をニコニコペース®と称し、約半世紀にわたってその効果を検証してきました。これまで高血圧や肥満症、糖尿病や動脈硬化症など、生活習慣病の予防や治療に効果を発揮しています。
ニコニコペース®の運動様式のひとつに、故田中宏暁・元スポーツ科学部教授が提唱していたスロージョギング®があります。これはウォーキングと同程度のゆっくりしたスピードでジョギングする手法で、老若男女を問わず安全で楽に運動を行える上、エネルギー消費量が高く、体力の向上も期待できます。
そんなスロージョギング®を核に、食の楽しみや観光の要素を取り入れ、短期間で理想の生活習慣を学び体験する健康プログラム「ヘルスツーリズム」を開発。これからは自治体やレストラン等の協力機関と連携しながら、より魅力的な健康プログラムづくりを目指していきます。